» 「MMPI 新日本版マニュアル」の紹介

MMPIマニュアル(1993年版)

MMPIマニュアル(1993年版)

本書はMMPI新日本版の実施手引書として作成された公式マニュアルである。単なる実施利用の手引書にとどまらず、MMPI研究の促進を目指して多くの資料や情報が掲載されており、利用価値の大きい必携の一冊である。

第1章では、MMPIの特徴や項目・基礎尺度の構成といった概要が述べられるとともに、活用の可能性や利用上の注意点などが示されている。

第2章では、MMPI新日本版の標準化手続きが詳述されている。項目文章の翻訳に始まり、日本における標準化集団のサンプリングからデータ収集にいたる標準化手続き、再検査法による新日本版の信頼性検討結果などが説明されている。

第3章にはMMPI新日本版の適用範囲や条件、実施者の条件、実施場所のセッティングや一般的教示といった実施法が述べられている。MMPI新日本版は、項目文章の提示形式で「カード式」と「冊子式」を採用しており、「冊子式」に用いられる冊子には回答欄が冊子内に組み込まれたタイプA式質問票と、回答用紙が別になったタイプB式質問票の2通りがあるが、それぞれの形式ごとに、実施の方法が詳述されている。

第4章には採点の方法が説明されている。尺度得点を算出するには、本マニュアルの付録に掲載されている採点キーと実際の回答を照らし合わせていくことになる。これを効率的に実施するために、新日本版では採点盤や採点用紙を利用したり、機械採点を利用する方法が考案されている。本章ではそれぞれの形式ごとに採点方法が述べられている。

第5章にはプロフィールの作成方法が述べられている。検査結果がプロフィール表示されるのはMMPIの大きな特徴のひとつであるが、この章ではプロフィールを描くのに必要なT得点の算出法、K修正、WelshコードとHathawayコードへの記号化および2数字・3数字高点コードについて説明されている。

第6章には、妥当性尺度と臨床尺度からなる基礎尺度と、臨床家に比較的よく知られている追加尺度について説明されている。基礎尺度については、それぞれの尺度で高得点者あるいは低得点者を特徴づける叙述が示されている。

第7章では解釈の原則が述べられている。解釈者に必要とされる資格要件や解釈手続きの概要が示され、また、解釈のための手引き書として推奨される内外の文献も紹介されている。

第8章では、臨床家や研究者が、MMPI新日本版を臨床活動や研究活動に利用する上で、参考になると思われる基本図書が紹介されている。

また、本マニュアルには付録として、MMPI新日本版の男女別各尺度平均値および標準偏差、各尺度の採点キーの一覧、基礎尺度および追加尺度の男女別T得点換算表、新日本版と原版冊子、カード、日本版の項目番号対照表も掲載されている。

運営委員 野田由美子(学校法人河合塾 カウンセリングルームほか)


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